第4章 過去の面影
やはり素っ気なく花織が言う。そのまま花織が机に伏せるとマックスが花織の右手からぐしゃぐしゃにされたメモを取り上げた。そして紙にさっと目を通し、呆れた風に首を振る。
「ふーん……、呼び出し状かぁ。筆跡から見て女子だね。行かないほうがいいと思うよ」
「……うん」
花織は返事を返したが、マックスの言葉よりも風丸に対しての罪悪感ばかりが募ってゆく。私は何様なんだろうか。勝手に風丸くんのこと振って勝手に落ち込んで。……まったくもって意味が分からない。
ところで、彼女が気にしている風丸はというと授業の間、じっと彼女の後姿を見つめていた。彼女の短くなった髪がどうしてか風丸の胸を締め付ける。切なく哀しい気持ちが胸の中に溢れていた。
以前、お揃いだと微笑んでくれた花織、そんな彼女は髪を切り落としてしまった。もしかすると昨日の出来事のせいで嫌われてしまったのかもしれない。しかし、彼女のことが好きなのだ。出会ったばかりなのに好きで好きで堪らない。
***
昼休み。マックスの言葉を無視して部室へ向かった。この後の展開などわかっていたが、行かなければどうせ後々面倒なことになるだけだ。花織は呼ばれた通り部室へと向かった。部室の中へ入ればキャプテンと先輩方面々がそこには居た。殺伐とした空気、やはり予想は覆らないらしい。
花織は後ろ手に扉を閉める。そして静かに彼女たちを見据えた。
「何の御用ですか、花岡先輩」
「あんた、最近調子乗ってない?男子部で練習するとかマジありえないんだけど」
刺々しい口調で花岡が花織に言う。確かに男子陸上部の練習に参加しているのは良い事ではないのかもしれない。しかし女子陸上の練習が済んでからそちらに参加しているのだし、一応彼女達にも許可は取っていたはずだ。
正直、今の花織にはそんなことはどうでもよかった。
「要件はそれだけでしょうか?」
花岡が思い切りロッカーを叩く。大きな音が部室内に響き渡った。花岡の目は怒りに震えている。花織は怪訝に思った、彼女の言いたいことは先ほどの事ではないようだ。
「そんなわけないでしょ!男子にちやほやされていい気分なのかもしれないけど、調子に乗りすぎだっていってんのよ!風丸くんのことも傷つけたって知ってるのよ!」