• テキストサイズ

恋風

第19章 恋風の行方


***

フットボールフロンティア決勝戦当日。

緊張の面持ちの選手たちが花織の目に映る、練習の成果の発揮どころだ。フットボールフロンティアのスタジアムから天空に浮かぶ世宇子スタジアムへと場所を移動し、試合開始を待つ。

雷門中は正直言って決勝戦前にも関わらず不安定だ。

世宇子スタジアム到着と同時に祖父の死に影山が関与している可能性を告げられた円堂。未だにマジンザハンドも完成していない、今チームの中で一番不安定な人物だ。そして彼こそがチームの中心でみんなのすべてだ。

だからこそ、チームメイトそれぞれが円堂をバックアップしていかなければならない。そしてそのバックアップを花織が一番期待するのは、豪炎寺でも染岡でも、鬼道でもない。花織がサッカーのプレーで信頼するのは彼一人なのだから。

だからこそ、たとえ迷惑だと思っていてもエールを送りたい。花織はその思いで控え室に居た。もちろんこの試合が終わったら自分の気持ちを彼に伝えるつもりだ、でもそれでは遅い。今まで彼のプレーを見てきたのは自分だ。だからせめて自分が応援しているのだということだけは伝えたい。

皆が控え室を出ていく。花織は決意を固めて彼の名を呼んだ。

「……一郎太くん」

彼の背中に声を掛けると彼のポニーテールが揺れた。花織はぎゅうと胸の辺りで手を握る。風丸は花織の声に足を止めた。だがしかし、彼は振り返ろうとはせずその場に立ち尽くしている。すでに部屋からは二人を除いた全員が退室していた。

「このままでいいから少しだけ私の話を聞いてほしい。……お願い」
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp