第19章 恋風の行方
「……花織」
「伸び悩んでる円堂君みたいな選手、絶対これから出てくると思うの。あんなに頑張ってるみんなだから、むしろスランプがないなんてことはないと思う。だからその人が、がむしゃらに前を見ることしかできないとき、それを脱却できるような方法を一緒に考えられたらなって……。見守るだけじゃ嫌だから、自分らしく選手の為に行動したい」
そこまで言って花織が照れくさそうに笑った。事実恥ずかしかったのだ、自分は元々マネージャーには向いていないと思っている。選手の方がむしろ良いと。だからこそ、マネージャーらしい目標を口にすることは少し恥ずかしかった。特にサッカーに対しては厳しい考えを持つ豪炎寺に対してというのも。
だが、豪炎寺にこういえることで自分の目標が明確になった気もした。豪炎寺にここまでのやる気をみせたのだから、実行せずにはいられないだろう。
「……やっぱり変かな、そういうの。秋ちゃんたちの方がマネージャーとして優秀だから、自分にしかできないことをしたいって思ったんだけど……。そういうのって余計なお世話?」
「……いや、悪くないんじゃないか」
豪炎寺は花織を凝視していたが、ふっと微笑んで花織の頭を再度撫でる。よく豪炎寺は花織の頭を撫でる。撫でやすい位置に頭があるからかもしれないし、もしかすると他に理由があるのかもしれない。豪炎寺は小さな声で花織に囁いた。
「……そんなふうにお前に想われる風丸は、本当に幸せ者だろうな」