第19章 恋風の行方
「眠れないからお散歩しようと思って……。豪炎寺くんはどうしたの?」
「…………誰かが体育館を出ていく音で目が覚めたんだ」
ふっと笑いながら豪炎寺が花織を見る。花織は豪炎寺のその返事に彼が何を言いたいのかを悟った。とどのつまり、彼は花織が体育館を出ていく音で目が覚めたというのだろう。
「……ごめんね、起こしちゃって」
「いや、いい。お前と話したいこともあったからな」
さらさらと花織の髪が風に靡いた。花織は黒髪を耳に掛けて話?と豪炎寺に問い返す。豪炎寺は頷いた。
花織と豪炎寺は特別仲が良いとは言えないが、意外と話をする仲だった。今の鬼道と花織の関係のような感じだろうか。具体的にいえばチームのことについて話すことが多々あった。花織は豪炎寺のプレーを尊敬していたし、豪炎寺も花織のマネージャーとして意欲的にサッカーを学ぼうとする姿勢は嫌いではないようだ。
「お前はまだ風丸や鬼道のことで悩んでいるのか」
先ほどよりは幾分か厳しい面持ちだった。鋭い目はじっと花織を見据え、答えを待っている。花織は豪炎寺の言葉に首を振った。
「悩んでないよ。……もう決めた、自分の気持ちに言い訳しないって。やっとわかったんだ、自分が素直に何を思ってるのか。今、チームの為に何をしなくちゃいけないのか。……ずいぶん時間が掛かったけど、わかった」
「……そうか」
豪炎寺の表情が花織の解答に少し柔らかくなった。花織はその表情で何となく、豪炎寺が今まで自分に対して何を感じていたのかを悟る。
「ごめんね、今までウジウジしてて。……ちょっと鬱陶しかったよね」
「ああ、少しな」