第19章 恋風の行方
***
真夜中になり、練習の疲れから選手もマネージャーも早々に眠りについた。広い体育館には選手たちの寝息、いびきが響いている。時刻は午前二時ごろ、選手たちはほとんど寝静まっていた。
だが花織は眠れなかった。どうしてだろう、慣れない場所にいるからだろうかと花織は思う。バスや車の中では眠れるのだが、小学校の修学旅行でも眠れなかったからきっと大勢で眠るというのに緊張しているのかもしれない。とにかく花織は身体は疲れ切っているはずなのに、眠りにつくことができなかった。
花織は寝返りを打つ。目を瞑っても一向に眠気が来ない。しょうがなしに花織は音を立てない様に起き上がり、そろそろと布団から這い出た。外に出て散歩でもしようか、きっとそうした方が眠れるだろう。
花織は監督や先生に気づかれぬように花織は体育館を出る。夏にしては涼しい夜だ、そんなことを思いながら普段こんな時間に通ることの無い学校の道を歩く。花織はサッカーグラウンドを通り過ぎ、部室の辺りをまで歩いてきていた。
「……花織」
背後から掛けられた声に花織はびくりと身体を震わせた。驚いて振り返ると呆れた様子のエースストライカーが立っている。
「豪炎寺くん?」
「こんな夜更けにお前はどこへ行くんだ?」
怪訝そうな表情の豪炎寺は花織の元まで歩いてきた。花織は特に目的もなかったために何と言おうか少し迷ったがすぐに返事を返した。