第19章 恋風の行方
「俺が花織に聞いたお前との約束は"今は鬼道でも代わりでも、いつか鬼道を忘れさせる"だ。俺、お前も花織もお互いのことが好きじゃないならこんなこと言わない、唯でさえお節介だって思ってるんだ。でもこのままじゃお前も花織も、どうしようもないまんまだろ……!?」
半ば訴えるような言葉で半田が叫ぶ。風丸は始めは半田の剣幕に驚いていたようだが、悲しげに顔を顰めて再び俯いた。
「俺が花織を好きだって、花織は鬼道が……」
「花織が好きなのは風丸だろ」
「違う!……俺はずっと花織を見てきた、ずっとそばで……。だから誰より花織が鬼道を好いてるんだって、わかってるんだ」
ため息のような声だった。風丸は目を伏せる。好きだから分かるんだ、と言いたげだった。花織は一年前から鬼道を好いていた、そんな簡単に自分の方へ気持ちが向いてくれるような容易い人間ではないことはこの付き合いでよくわかっている。風丸は花織が好いているのは鬼道だというスタンスを崩そうとはしなかった。
だが、半田の言葉に風丸は思わず顔を上げる。
「……花織をずっと見てたのは、風丸だけじゃない」
その言葉で風丸は思い出した。半田も、花織に想いを寄せていたのだと。決して、風丸と鬼道だけが花織を特別視していたのではないことを。
半田が今日ここへ自分を呼び出した理由もわかった。風丸と半田の仲にも約束があったからだ。半田は口にはしないが、それを風丸に訴えかけていた。ようやくそれに気が付いた。
あの日の翌日、半田は花織を大切にしろと風丸の肩を叩いた。自分はそれに頷いたんじゃないか。