第19章 恋風の行方
「俺は花織が鬼道と一緒になれて幸せなら、いくらでも引く。花織が俺に負い目を感じるのなら、そうならないようにいくらだって花織に酷い仕打ちをしたっていい。俺を嫌いになれば、花織は鬼道の傍に居やすいだろうから」
「どうしてそうなるんだよ……。花織の意見は無視なのか?なあ、俺思うんだ。風丸は花織が幸せになってほしいとか言ってるけど、今はただ単に逃げてるだけじゃないのか。なんでまず花織と話し合わないんだよ」
半田は、風丸が身を引いたという事実よりも風丸の自己犠牲の様が気に入らなかった。花織の幸せのためなんて、言葉はいいが逃げているだけじゃないのか、そう思っていた。普通なら、花織を本気で好いていて恋人関係を結んでいたなら、何も話し合わないで別れたりしないだろう。ただ単に花織に告げられるのが怖かっただけじゃないのか。半田はそう考えてしまうのだ。
花織に、風丸よりも鬼道が好きだという宣告のような言葉を告げられることが。
「前にも言ったが俺は鬼道の代りだったんだ。そういう約束だったし、俺はそれが最善だと思った。今じゃ鬼道は雷門にいるんだ、俺が傍にいたらむしろ邪魔だろ。……そう思うのは自然じゃないのか?話し合う余地なんてないだろ」
刹那、半田はぐっと奥歯を噛みしめた。つかつかと風丸に歩み寄って、風丸の胸倉をつかみかねない勢いで半田が叫ぶ。
「お前と花織がした約束は"鬼道の代り"なんかじゃないだろ!!すり替えるなよ!!」
「……っ」
半田の剣幕に風丸が顔を上げた。その表情は驚きに満ち溢れている。半田は言葉の勢いに任せて話を続けた。