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恋風

第4章 過去の面影




しかしそれは自惚れだったのだ……、風丸は自嘲する。だがそれでも花織の事は諦められないだろう。風丸は確かにそう思った。自分の胸にこみ上げる熱い気持ちの行き場を失くして、張り裂けそうなほどの苦しみを彼は感じた。

***

花織が彼の想いを聞いた翌日の事だった。すっかり泣きはらした目で花織は登校した。どうしてからあれから涙が止まらなかったのだ。両親の心配も聞き入れず、目を冷やしもしなかったためか未だに瞼が重たい。

あれから一晩考えても自分の気持ちに答えが見つからず、昨日と変わらずモヤモヤと嫌な気持ちを持ったままだった。

「あ、花織ちゃん!おはよう……」

秋は花織を見てびっくりしたように目を見開く。

「おはよう。秋ちゃん」
「花織ちゃん髪、切ったの?とっても似合ってるよ!」
「ありがとう」

作り笑いを浮かべて花織は席に着く。花織は腰ほどにあった髪をバッサリと肩につくかつかないかの長さまで切り落としていた。理由は髪を切ればこの気持ちが消えるとおもったから。風丸と揃いの髪型ができなくなれば彼を意識することも減るのではないかと思ったからだ。

しかし、そんなことはなくて、首に感じる冷たい風が心に空いた穴を突き抜けるようだった。花織の浮かない表情を察してか秋は心配そうに花織の顔を覗き込む。

「どうしたの、何かあった?……目、腫れてない?」
「……なんでもないの」

心配する秋を余所に、花織はそっけなく返事を返す。今はそっとしておいてほしかった。鞄の中の教科書を机の中へ移そうと机の中へ手を突っ込めば、ぐしゃりと音がして何かが手に触れた。不思議に思ってそれを取り出してみると汚く畳まれたルーズリーフが入っていた。

≪昼休み、部室で。≫

花織は手の中の紙を握りつぶす。文字には見覚えはなかったが部室に呼び出したところをみると陸上部の人間だということは間違いないだろう。花織が紙を見つめながら俯いていると花織の傍にマックスと半田が歩み寄った。

「花織?髪切ったのか?ってどうしたんだよ。あれ、その紙は?」
「……なんでもない」

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