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恋風

第19章 恋風の行方


***

「風丸」

円堂のマジンザハンド修得のための練習を終え、部室に備え付けられているシャワーを浴びた後のことだ。体育館へ戻ろうとする風丸の背後から彼の名を呼ぶ声が聞こえた。風丸は立ち止まり、声の主を振り返る。まだしっとりと濡れた髪を耳に掛けて、自分に声をかけた人物を見た。

「半田、どうしたんだ?」

下ろしたままの髪をさらりと手で掻き上げながら風丸が問うた。流石にシャワーの後であるし、寝る前なのだからいつものように風丸の髪はポニーテールにされていない。半田はそれに少し違和感を覚えていたが、今はそんなことに捕らわれている暇はなかった。

「お前に話がある、一緒に来てくれないか」
「話?ここじゃダメなのか」

風丸が首を傾げた。髪を下ろしているから余計女っぽく見える。半田はそんなことを思いながら頷いた。

「ああ。できればあんまり人に聞かれたくないしな」

風丸は怪訝そうに顔を顰める。だが、普段こんなことを言いだすことはない半田がこれほど深刻そうに風丸に事を頼むのだからそれほどの用事なのだろう。特に断る理由もない、あとはどうせ寝るだけなのだから。風丸はこくりと頷く、そして分かったと了承の言葉を口にした。

***

半田が風丸を連れてきたのは彼らの教室であった。廊下は電気が落とされていて不気味であり、煌々と教室内を照らす蛍光灯は冷たく無機質に風丸と半田に光を注いだ。

「半田、俺に何の用だ。早く戻らないと監督に叱られるぞ?」

真面目な風丸らしい言葉だ。実際、監督に何も言わずに抜け出してきているのだから、今ここに居ることがバレると二人とも多少なりとは怒られてしまうだろう。何しろ合宿中は集団行動が必須であるし、練習のせいで時刻も遅いのだから早く身体を休めるべきだ。

「悪い。でも、早いうちに聞いとかないと後悔するんじゃないかって思ったんだ」

半田は一つ深呼吸をして風丸を見据えた。風丸は半田の真剣みを帯びた表情に僅かに首を傾げる。半田は少しの沈黙の後に核心を口にした。

「風丸、本当に花織とよりを戻す気はないのか?」
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