第19章 恋風の行方
「ちょっとみんなどうしたの?負けちゃったみたいな顔をして……、まだ試合は始まってもいないのよ!」
「でも、相手のシュートが止められないんじゃ……」
「だったら、点を取ればいいでしょ……!!10点取られれば11点、100点取られれば101点、そうすれば勝てるでしょ!!」
さすが秋だ。秋がみんなの前に歩み出て真剣な表情で皆に訴える。秋の言うとおりだ、花織は秋の言葉に共感した。シュートを止めることがすべてではない、サッカーはそんな単純なスポーツじゃない。
「木野先輩の言うとおりです!点を取ればいいんですよ!!」
春奈も秋の隣に並んで訴える。段々と選手たちの間にさざ波のように彼女たちの言葉が広がり始めた。鬼道が取ってやろうじゃないか、101点!、と特にFW勢に向けて声高に叫ぶ。
鬼道の叫びと同時に花織も秋の隣に並んだ。花織もマネージャーだ。始まりの帝国の試合の時から何だかんだチームの、そして彼の成長を見守ってきた。だからこそ、弱音なんて言わせたくない。彼らは不可能を可能にしてきたのだから。
花織は思いのたけを特にDFに、彼に訴えかけるように一心に思いを寄せる人だけを見つめて静かな、それでも響く声で告げた。
「それだけじゃない。仮にシュートが止められないのだとしても、シュートを打たれなければ得点にはならない。だったら、要はシュートを打たせなければいい。相手のボールを奪ってしまえば、シュートは打てないんだから」
攻撃は最大の防御、確かにそうかもしれない。だが攻める前に守りが必要なもの、それがサッカーだ。DFがボールを奪い、MFに繋げる。MFがボールを持ち込みFWが決める……それがサッカーだろう。決して守りをGKだけに任せるようなことがあってはならない。