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恋風

第19章 恋風の行方




思い立ったように半田が声を上げた。半田の口から上がった帝国学園元総帥の名前に円堂が反応する。いや、円堂だけでは無かった。花織が不安に身を縮めると同時に鬼道も花織の隣でこぶしを握りしめていた。

「もしかしたら影山の手下じゃないか?決勝戦前に事故を起こして、相手チームが試合に出られないようにするのは影山の手だ」

半田が続けて推論を述べると皆の顔色が変わった。一理あると思ったのだろう、皆表情に警戒の色を浮かべている。花織は胸の前でぎゅうと手を握る、怖いのだ。花織は影山の被害に遭ったことがある、だからこそ余計に。

「ようし、行くぞ皆!そいつを捕まえて正体を暴くんだ」
「「おおーっ!!」」

夏未、壁山、目金以外のメンバーが円堂の後に続く。その人波の中で鬼道は怯えを見せている花織の手を握った。鬼道には分かっていたのだ、花織が影山に対して恐怖を感じていることを……、もちろん彼も。

「鬼道さん……?」
「行くぞ。……大丈夫だ、案ずることは無い」

鬼道は強く花織の手を引く。本当に安心を得るなら、大人の居るこの場所に花織を置いていくのが正解なのだろうが、鬼道はそれを選択しなかった。それはきっと自分の目の届かないところに花織を置いておく、ということの危険性を危惧したからだろう。鬼道は花織に微笑みかける、以前も見せた頼りがいのある微笑だ。

「何があっても守ってやる」
「……ありがとう、ございます」

ふっと、花織の表情が和らいだ。だが、以前のように動揺したり頬を染めるということもなかった。自分の気持ちが誰にあるのかはっきりとしてしまうとあまり揺らがないものなのかもしれない。そんな花織を見て鬼道は自分の中にある憶測を徐々に変えようとしていく。そして鬼道と花織のやり取りを見た人物は花織の表情からあることを悟っていた。
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