第19章 恋風の行方
「で、でたああああああ!!!」
にんじん、玉ねぎを切り終わり、野菜を炒める係のチームメイトに花織と鬼道は野菜を受け渡した後、ふたりで談笑を続けていた。そんな二人の雑談を打ち切ったのがこの叫び声だった。花織は驚きに弾かれたように身体をびくりと震わせる。鬼道も思わずその叫び声に顔を顰めた。
声の主は壁山だったようだ。校舎から掛けてきたかと思えば、目金の後で蹲っている。出た、出たと頻りに繰り返す彼の背中は震えている。
「出たって、何が?」
唐突な彼の大声に一之瀬が怪訝そうに首を傾げながら壁山に問うた。
「何がって……、お、オバケッスよ……!三組の教室に……っ」
「三組の教室?」
土門も首を傾げた。雷門中学は一年、二年、三年で教室の棟が分かれている。三組の教室というと、ここから一番近いのは二年三組の教室だろうか。目金がそんな非科学的なものがこの世にいるわけないと声を上げたが壁山に付き添っていたらしい影野がひょっこりと壁山の背後から現れる。
「……確かに誰かいた。誰か大人の人が……」
えっ、と皆が深刻そうな表情をする。影野の様子は落ち着いていた。臆病で現在も慌てている壁山の発言だけなら見間違いも考えられたが、二人の証言、しかも一人は落ち着いているとなると話の信憑性はかなり高くなる。だが、こんな時間の学校にいったい誰がいるというのだろう。しかも大人の人だという、先生や監督はこの場にいるからいるとなると明らかに不審者だ。
「影山……!」
「影山!?」