第19章 恋風の行方
「練習お疲れ様、一郎太くん」
「……」
「じゃあ……、また後でね」
花織はそう微笑んで風丸の前から去って行った。風丸は花織を振り返る、花織は自分のことをいったいどう思っているのだろうか。そればかりが疑問として風丸の中に募った。先日の件で、花織に完全に嫌われたのだと思った。しかし実際はそうではなくむしろおにぎりの一件と言い、今の出来事といい、好意が失われていない様に思える。そんなはずはないのに。
もしかしたら、俺が良いように解釈しているのかもしれないな。
風丸は花織の後姿を見つめながら自嘲気味に笑った。きっと自分がまだ花織に好かれていたいと願うから、きっと花織の行動がそういう風に見えるんだろう。何たって花織が好きなのは鬼道なのだから。俺に対してその気持ちは無いのだから……、重々それは自覚している。風丸は自分に言い聞かせた。
花織の優しさをはき違えてはいけない。花織はチームメイトにいつも声掛けをしているし、困ったことがあればいつでも相談に乗るような人間だ。加えて何か改善点があれば指摘するような……、チームに置いて重要なマネージャーじゃないか。風丸は自分の気持ちを押し殺して、そんな考えを自分に何度も刷り込んだ。そうしなければ自分の気持ちを、いまさらどうやっても仕方のない気持ちを花織に打ち明けてしまいそうだった。