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恋風

第18章 君を想う




「これ、花織ちゃんが握ったおにぎりなんだけど……、食べない?」
「花織、が?」

ぴくりと風丸の眉がその名前に反応した。風丸はちらりと花織の方へと視線を向ける。花織はこちらに気が付いていないようで、楽しそうに土門らと談笑していた。風丸は秋に視線を戻す。そして静かに首を振った。

「悪いが受け取れない。花織が作ったものは鬼道に……」
「花織ちゃんが、風丸くんに食べてほしいんだって言ってたの」

目を逸らし、おにぎりを受け取るまいとした姿勢を見せていた風丸に、静かにだが強い口調で秋が訴えかけた。風丸の瞳が動揺に揺らぐ。花織が……?風丸は秋を見る、秋の表情は嘘をついているようには思えなかった。

「これを食べて練習頑張ってほしいんだって、言ってたよ。本当は内緒にしてって……、何も言わないでって言われてたけど、このままじゃ花織ちゃんも風丸くんも、もどかしいだけだろうから……」
「…………」
「だから、食べてあげてほしいの」

――――花織。

風丸は再び花織を振り返る。やはり花織はこちらをちらとも見ずに笑っていた。風丸の目が自然と悲しげに細められる。

一体、何を考えてるんだ。俺のことを嫌いになったんじゃないのか、愛想を尽かしたんじゃないのか。お前には鬼道がいるだろう、なのになんで未だに俺を気に掛けようとするんだ。

そんなことを思う最中、風丸は思い出すことがあった。以前、彼女と一緒に練習をしていた時のことだ。彼女は練習後、空腹であろう風丸の為におにぎりを作ってきてくれた。その時、彼女が言っていた言葉が胸の中で反芻される。
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