第18章 君を想う
「花織のプレーは、風丸そっくりなんだ」
「……!」
さら、と花織の髪が動揺に揺れた。彼女は自分のプレーなど気にしたことは無かった。だが、似ていてもおかしくは無いはずだ。彼女は彼からサッカーを教わり、共に練習を積んできたのだから。そして今もずっと彼のプレーばかりを見つめ続けているのだから。
そう、一之瀬の言うとおりだったのだ。花織のプレイは彼に酷似していた。パスをするとき、トラップをするとき、ドリブルをするとき……、何もかもがどこかしらに彼の面影を感じさせる。下手をすれば走るフォームすらもよく似通っているように思えてしまう。彼らはこれを見て確信したのだ。ここまでフォームが似るほどに花織は彼を見つめ、彼を愛してきたのだろうと。でなければ、ここまで彼そっくりのプレーができるだろうか。
「君の事情を考えると簡単に決断することはできないんだろうけど……花織、君は」
一之瀬が微笑む。
「君は本当に風丸が好きなんだね」
花織はハッとした、これは以前土門にも言われた言葉だ。あの時はこの言葉を否定した。
しかし、どんなに決断できないと言い張っても。花織は自然にすべてを風丸に向けている。もう今更、鬼道に対して失礼だからと自分の気持ちを誤魔化していても仕方がない。花織は思う、そして一之瀬の言葉に首を縦に振った。もう目を背けていることはできない。はっきりと自覚してしまったのだから、これほどまでに心が痛む理由を。そう、どう足掻いたって私は――。
――――私は一郎太くんが好きなんだ。
それはきっと嫌われていたって、迷惑だって関係ない。これは私の素直な気持ちだ。そう思うだけで、自分の気持ちが晴れるのを感じた。今まで花織の心を覆っていた燻るような胸の痛みは、そのすべてによって浄化されていった。