第18章 君を想う
厳しい表情はそのままだった。一之瀬は花織の肩に手を置いてじっと彼女を見つめていた。
「俺は君たちの間に何があったかは全然知らないけど、風丸がさっきみたいな変な行動をとったのは何か理由があるんじゃないか?だって普段の彼は、少なくとも俺の目には花織を嫌っているようには見えないから」
「……そんなこと」
花織は涙ながらに首を横に振る。以前は、そうだったのかもしれない。でも今はきっと嫌われてしまったのだ。さっきの行動が何よりの証明だと花織は思う。何か言いたげなくせに黙り込んだままの花織に一之瀬はしばらく沈黙していた。だがしばらくしたのち、一之瀬はわかったといって立ち上がった。
「花織、サッカーをしよう」
「……?」
花織は頬を伝う涙を拭いながらきょとんとした。一之瀬の隣に立っている土門もわけがわからないようできょとんとした顔で立ち尽くしている。いったい彼は何を言い出したのだろうか。
「何だよ一之瀬、急にどうしたんだ?」
「サッカーをすれば、思いは伝わる。サッカーで花織の気持ちを俺たちにぶつけてよ。……仲間だろ、俺たち」
頼りがいのある目をしていた。花織は彼の頼もしい言葉に思わず頷いてしまう。以前鬼道に拒絶されたとき、花織は誰にも相談できずに転校してしまった。他に友人がほとんどいなかったからだ。でも、今は違う。秋や土門たちをはじめとする多くの友人が自分を心配してくれている。
だから今は縋ろうと思った。もう十分に迷惑をかけている、今後これ以上の迷惑をかけるよりも今彼らに助けを求めて縋っていたいと花織は思った。