第18章 君を想う
―――――拒絶。
その二文字が花織の脳内を支配した。花織はこぶしを握る。現実が衝撃的で絶望的な何かに胸が支配された、目頭が熱くなった。
「花織ちゃん!」
強く、震える手でタオルを握りしめた。堪えられなくなって花織はその場から逃げ出した。ダメだ、ダメだ。このままでは、チームの空気を悪くしてしまう。士気が高まっている選手たちの前でこんな情けない姿を見せるわけにはいかなかった。
さて、残されたチームメイトがこの異様な空気に気づかないわけがない。もちろん早々に休憩に入っていた部員たちは何が起こったのかよくわからなかったようだが、勘の良い選手や事情を知っていた、または目の当たりにした者たちは今の一瞬で何が起こったのかを察した。
あるものは花織を追い、あるものは風丸を凝視した。それでも風丸は何事もなかったかのように秋の前にやってきた。秋は今起こったことに対して何も言えずに、唯風丸を動揺した瞳で見つめている。風丸の表情からは何も感じられなかった。
「風丸先輩!どうしてさっきみたいなことを!」
春奈が先ほどの風丸の態度に憤慨して彼に食って掛かる。春奈も、花織と同じように選手たちにドリンクを配っていたのだ。彼女は間近で先ほどの出来事を見たのだろう。でなければここまで彼女が激昂することは無いと思う。
「いくら別れたからって、無視なんて酷すぎますっ!花織先輩は先輩にタオルを渡そうとしただけなのに!」
先ほどの花織の表情、風丸が花織に別れを告げた時と同じくらいショックを受けた表情をしていた。本当に彼女を以前少しでも愛していたなら、あの表情に何も感じないわけがない。春奈はそう思っていた。花織の幸せを願って別れるのだと言ってた。
確かに花織がはっきりしないから風丸は報われなかった。それでも未だ風丸との別れの傷心が癒えぬ花織に、今の仕打ちは酷すぎるだろう。