第3章 淡く、そして儚く
「え?」
花織の質問にわけが分からないといったように風丸君は慌てふためいた。花織はただただ思いつく言葉を風丸に告げる。
「最近目が合ってもすぐに逸らしちゃうし……。話しかけてくれなくなったから……」
目頭がどうしてか熱くなる。ぎゅうと締め付けられるような胸の痛みに花織は俯いた。小さな掠れた声で言葉を続ける。
「風丸くんがそんなつもりなくても、……私は辛い」
「……っ!俺は……月島の事嫌いじゃない!むしろ好きで……!?」
途端に風丸は¨しまった¨と言いたげな顔をする。一瞬わけがわからなかった花織も沈黙と共に意味を察した。恐る恐る風丸へと視線を向ければ、どこか決心したような真剣な顔をした風丸がいて花織を見つめていて、思わずその男らしい表情に花織は目を奪われた。
「俺は、月島の事が好き、だ。……結構前から。月島の事見てると緊張してうまく話せなかったし、目も合わせられなかった。……お前を不快な気持ちにさせる気はなかったんだ、悪い」
照れくさそうに頭に手を当てながら風丸が苦笑する。しかしすぐに表情を真剣なものへと変えしっかりと花織の目を見つめた。
「もし……、もし月島さえ良かったら俺と」
花織の唇から空気が漏れる、しかし言葉は何も出てこなかった。驚いた、嬉しいとも思った。しかし自分の風丸に対する思いがわからない。私は彼をどう思っているのだろう。花織はこぶしを握る。花織の好きな人はすぐに思い浮かんだ。
私は……¨あの人¨が好き。鬼道さんが好き。手の届かない存在だったけれどずっと想っていた。その気持ちは今でも変わってない。どれだけ彼が私を嫌いでもそんなにすぐにあきらめ切れる思いでもないから。