第18章 君を想う
かああ、っと花織の頬が赤くなった。やはり鬼道はズルい、友人として接するなどといったくせに。以前と、花織に想いを伝える前とそう変わらない態度で花織と接する。それは確かにあからさまに花織に対して好きだとか、お前が欲しいだとかは言いはしない。それで好意を微かに滲ませて彼は花織に接するのだ。
「……あ、ありがとう、ございます。……でも、さっきはああ言いましたけど、さすがにこれからはあんまり残って練習はしませんから……っ。決勝も近いですし。それに」
「それに?」
「……マネージャーが自分本位では、どうしようもないですから」
花織がふっと悩ましげに目を伏せて呟いた。するとすっと明らかに先ほどまであった甘ったるい空気が引く。鬼道も切り替えが早かった。花織が提示する話の内容が変わったことを瞬時に悟ったのだ。
「円堂君……。この頃不調ですよね、正確にいうと木戸川清修の試合中から」
「ああ、ゴッドハンドが破られて、かなり堪えたようだな。……今のままでは世宇子には勝てないだろう」
「ええ。私も世宇子中学の準決勝をビデオで見ましたが……。とてもじゃないけれど今のままでは勝てないと、そう思っています。いつもの彼らしさもないですし」
"やってみなくちゃわからないじゃダメなんだよ……"円堂はそう言っていた。今までは"やってみなくちゃわからない!"と言ってすべてを乗り切っていた彼が、そういうのだ。精神的にかなり追いつめられている。そしてそれはチームの士気にすら影響しかねない。
木戸川戦でも一本、危ないシュートがあった。そのシュートは壁山と栗松の援護で彼は止めることができた。しかし、ディフェンスがずっとキーパーの援護をするわけにもいかない。あれはタイミングが良かっただけだ。世宇子との試合ではできない可能性が高い。