第18章 君を想う
腕を組んだ彼はゴーグル越しにもわかるような鋭い視線で花織を見据える。花織は大きくため息をつき、目を伏せた。土門と秋を口止めしていたのは、こういうことが起こらないようにするためだったのに。想像よりも早く、事が露見してしまうなんて。
御影専農との地区予選の試合日、花織は"修練場での無茶な特訓はやめろ"と鬼道に言われていた。加えて今までは風丸もだ。"花織が怪我をするといけないから"と特に風丸には口を酸っぱくして言われていた。正直、風丸が嫌がるからここを使わなかったのだ。
だからこそ、花織は先日の風丸と別れ、鬼道を避けていたあの時にこの修練場を使おうと思ったのだ。きっとここはストレスに付いて考えることもなく、ただ自分を追い詰めることのできる場所だからだ。だが今は、花織と鬼道は和解し、良好な友人関係を一歩ずつだが築き始めている。再び注意を受けることは目に見えていた。だから二人を口止めしていたのに。
「鬼道さんの目はさすがに誤魔化せませんね。……でも私、ここでの練習をやめる気はありませんから」
「花織」
咎めるような口調で鬼道が言う。花織も意志の強い瞳で彼を見た。この頃、この二人の関係は変化していた。鬼道が友人として待つから、と友人らしい接し方を花織に所望したからだ。だからこそ、口調こそは敬語のままでも花織は以前のように鬼道の命令に従わなければいけない、という強迫観念のようなものを払拭しつつあった。
「鬼道さんには関係ないでしょう?……ここで練習するのは私の意思、鬼道さんにも、誰にもとやかく言われる筋合いはない」
「何も俺はここで練習することだけに限定して、制約を掛けようとしているわけではない。こんな時間まで残っていることにも問題があるんだ」
「今までも残ってましたし……」