第17章 優しい嘘
「悪かったな、付きあわせてしまって」
あれから30分ほど後のこと、鬼道は花織を家まで送るためにわざわざ自分の家と遠く離れた場所まで来ていた。かなり遅くなってしまったから変質者を警戒するのは当たり前だったし、何より花織を放置して帰るなどという選択肢は鬼道の中にはなかった。
「いいえ。佐久間さんと源田さん、元気そうでよかったです」
花織が先ほどの楽しかった余韻に浸りながら言う。佐久間と源田は先ほどの面会で優しくて話しやすい人だとわかり、以前抱えていた怖いというイメージが完全の払拭されていた。
「そうだな。……アイツらの怪我は他の奴らよりも重かったからな。ああやって元気そうにしていると安心する」
鬼道がふっと息を吐き、呟く。少しだけ沈黙が流れた。花織は俯く、鬼道との間で沈黙してしまうとどうにも気まずい。佐久間と源田がいたおかげで先ほどまでは何もを忘れていられたが、我に返ってしまうと何を話せばいいのかわからなかった。
「花織」
鬼道が足を止める。花織の足も伴って止まった。夏だというのに涼しい風が2人の間を吹き抜ける。
「先日は悪かった。……許してほしい」
「え?」
花織は吃驚した。謝らなければならないのは花織の方のはずだった。あんな風に鬼道を拒絶してしまったのだから。自分でも酷いと思っていた。だが鬼道は続ける。