第17章 優しい嘘
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放課後、花織は最後まで居残って片づけをしていた。
今日の練習は一之瀬のおかげで大盛り上がりだった。練習が終わってからも一之瀬の話が聞きたいとほとんどの部員が円堂の家へと向かっていった。花織は着替えながら一之瀬に言われたことを胸の中で反芻する。――私の気持ちは私の物だと言われた。本当に私の気持ちで選んでしまっていいのだろうか。だが自分の気持ちもよくわからない。彼の言葉だけで割り切れたのなら、こんな拗れたことにはなっていないはずだ。
ため息をつきながら部室の戸を開ける。もうみんな帰ってしまっただろう、そう思っていた花織の目に人影が目に入った。
「鬼道さん……」
鬼道がマントを付けていないと少し不自然な気がしてしまう。制服だからマントを付けないのが当たり前なのだが、帝国の時はつけていたからあまり見慣れない姿だ。そう思う花織の髪がさらさらと風に揺れる。……久しぶりだった。同じ学校、同じ部活のはずなのにこうやって彼と対面するのは。
どきどきと、妙な緊張のようなものが湧きあがってきて花織は俯く。
「花織」
びくっと身体が震える。何か用だろうか……、というか花織に対して用があるのだろうか。あの日花織は、鬼道に対して酷いことをしたはずだ。なのに彼の声は以前と変わらず優しかった。
「もう、帰れるのか?」
「は、い……」
恐々、鬼道が何を考えているのかわからなくて花織は戸惑う。鬼道はふっと笑って花織を見つめた。
「お前に、来てもらいたい場所がある」