第3章 淡く、そして儚く
「……花織ちゃんってやっぱり風丸君の事が好きなの?」
秋が花織に問いつつ、お茶を飲む。
「わからない。もちろん、友達としては優しいし頼りになるしいい人だと思う。でも、恋愛的な意味で聞かれると」
「わかんない?」
マックスが花織の言葉を繰り返し、首をかしげる。花織の話を聞く限り風丸への好意は明白で疑う余地すらないというのに。花織は¨うん¨と返事をし、続ける。
「本当に……、わかんないの」
目を伏せればあの人のことを思いだす。花織の中でも本当はわかっていた。まだ誰にも帝国でのあの出来事は話したことは無い。思い出すのが辛いから、何も言われたくなかったから。半田は半ば怒っているかのように眉間にしわを寄せている。
「それでも、花織は風丸の事」
その半田の声を遮るように教室の戸が大きな音を立てて開き、先生が入ってきた。瞬間、おしゃべりをしていた生徒が席に着き、外にいた生徒が教室に駆け込んでくる。花織がふっと時計を見ると、授業が始まる寸前だった。マックスや半田たちも慌てて席を立ち、机を元に戻す。
「やばっ。じゃあこの件は明日にでも!」
バタバタと去り際にマックスが言葉を残していく。どこか上の空のまま授業がはじまったが花織は全くと言っていいほど身が入らなかった。いったい私はどうしたいのだろう、答えが欲しくてたまらない。結局、よくわからないまま明日に持ち越しになってしまった。いますぐにでもこのもやもやを晴らすすべが知りたくて仕方がないのに