第17章 優しい嘘
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風丸は練習の合間に挟まれた休憩中、ベンチに腰かけてフィールド内でボールを拾っている花織に視線を向けた。今日の彼女は先日に比べて格段に明るく振る舞っている様に思えた。少しだけホッとする。花織と別れたことを後悔しそうになっていたからだ。
風丸の予測ではたとえ花織が自分の所作で傷ついても、鬼道が花織を慰め、立ちなおさせるのだろうと考えていた。だが、のちに聞いた半田の話では花織は鬼道の手を振り払ったらしい。……考えもしないことだった。
それだけ自分の言葉は酷く花織を傷つけたかと不安に打ち震えそうになった。皆の前では気丈に振る舞ってみても花織の隣に立てないことが苦しくないわけではない。花織が笑ってくれるならと思って選んだ選択肢だ。彼女があんな顔をしているのでは、その選択をした意味がない。
しかし今更どうすることもできない。花織を傷つけた自分が彼女を慰めることなどできるはずがない。……もしも話しかけると自分の中で欲が出てしまいそうだった。
だからこそ、今日の花織が空元気であったにせよ、明るく振る舞えているのを見て安心した。このまま彼女が立ち直ることが出来れば、自分の行動の甲斐もあったというものだと風丸は思った。
じっと歩く花織を目で追う。ふと、彼女の動作に違和感を覚えた。ボールを拾うため屈むときに、いつもよりも動きが緩慢で常に左足を曲げるようにしている。彼の目には花織が右足を庇っているように思えた。
……何かあったのか、それとも思い過ごしか。
花織の今日の調子も相まって、昨日との彼女の差に風丸は疑問を抱く。自分はもう花織の何にも口を挟める筋合いはない。だがそれでも、花織に何かあったのならと思うと、いてもたってもいられなかった。