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恋風

第17章 優しい嘘




土門もさり気なくそれに加わり、花織を抱え起こし床に座らせた。

「でしょう?……ね、花織ちゃん。今はまだ花織ちゃんの気持ちが落ち着いてないんだろうから駄目だけど、本当に心が決まったらもう一回、風丸くんと話してみたら?」
「……でも、一郎太くんは」

もうきっと私と顔をあわせたくないと思う、そう言おうとした花織の言葉を秋は遮り、ポケットからハンカチを取り出した。そして涙でぐしゃぐしゃになった花織の顔をそっと拭う。そしてにこりと花織に微笑んで見せた。

「大丈夫!風丸くん、あんなに優しいじゃない。花織ちゃんの話し、ちゃんと聞いてくれるよ。…………ただし!」

秋が花織の肩をとんとんと叩いて花織を見つめる。

「風丸くんに自分の気持ちを伝えるのは、全部終わらせてから。今度こそはっきり返事を決めて挑まなきゃ。もしかして今の風丸くんに対する気持ちが同情なのかもしれないし、鬼道君への気持ちが同情なのかもしれない。……私は花織ちゃんの気持ちをわかってるつもりでも、本当に花織ちゃんにとって誰が一番大切なのかは決められないもん」
「……私」

マックスと半田は風丸を選ぶことを、春奈は鬼道を花織が選ぶことを期待している。花織の表情が少し翳った。結論を出すということがチーム内に軋轢を生みそうで怖かった。だが、そんな花織の考えを悟ったのか、土門が花織の肩を掴む。

「花織ちゃん、誰も関係ねえよ。付き合うのは花織ちゃんだろ。じっくり考えろって言ったのは俺だし。俺は最後まで花織ちゃんの味方だぜ。花織ちゃんが誰を選んでもな」
「そうだよ、私も花織ちゃんを応援してる。この前も言った通り、ずっと味方だから」

花織は唇を噛んで俯いた。じんわり胸が暖かくなる。……本当にそうすることができたらどんなにいいだろうと思った。今までできなかったことだ、できる気はしないが努力はしてみたい。どんなに時間が掛かっても。

「ありがとう……。秋ちゃん、土門くん」
「うん。じゃあ今から怪我の手当てだけして帰ろっか!」

花織が微かに笑って礼を言えば、秋は頼もしく笑顔を返してそういった。
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