第17章 優しい嘘
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部活終了後、土門は花織に指定されたイナビカリ修練場へと向かった。地下への階段を下り、修練場の中を見渡すとすぐに一人そこに佇んでいる彼女の姿が目に入る。
「花織ちゃん!」
「土門くん……、来てくれてありがとう」
普段の穏やかさとはやはり違う花織の雰囲気、どこか陰鬱で悩ましげな表情をしている。気にしていない人間は気にしていない花織の表情だが、気にしている者にとってはとても影響のあるものだ。それにしてもその表情は周りの空気を少し翳らせるものがある。だが、それだけ酷く彼女は傷ついたのだろう。
「相談か?俺に聞けることなら何でも聞くぜ」
「……ううん、今日は頼みがあって。秋ちゃんには頼めないことだから、きっと反対されちゃうし」
花織が、現時点で誰より拠り所にしている秋にも言えないことらしい。いったいなんだろうか。
花織のことについて、彼女が思うよりも多くのことを土門は知っていた。鬼道と風丸の行動によってである。風丸と花織が関係を解消した翌日、鬼道は土門に風丸は秋に、互いにとってありのままの知るべき事実を2人は説明していた。理由は花織が一度、影山の手によって被害に遭い掛けたからだ。
あくまで彼の推測でしかないが、鬼道は世宇子中のバックには影山がいるのでは無いかと睨んでいるようで、花織にまた危害が及ぶのではないかと気にかけていた。影山は勝利のためには手段を選ばない。帝国の栄光をズタボロにした世宇子に、雷門の実力が届きえるとわかったなら何をされるかわかったものではない。加えて、影山が鬼道に報復したいと思うならすぐさま花織を狙うだろう。花織は春奈と同等と言えるほど鬼道にとってのアキレス腱と言えていた。
ただ花織をひとりにしない様に、という言葉は、また風丸よって秋にも告げられていたようだ。風丸は秋を花織の友人として、チームのマネージャーとして信頼しているのだろう。自分のせいで花織が傷ついているから、傍にいてやってくれないかと頼んだのだ。