第17章 優しい嘘
花織はさめざめと泣きながら自分の非をことごとく述べ立てる。彼がどんな気持ちだったのか、自分は本当にわかろうとしていたのだろうか……。彼の気持ちに答えたいと思っていた。それすらもが彼を傷つけていたなんて思いもしなかった。
「花織ちゃん、風丸くんはきっと花織ちゃんと一緒にいたこと自体を辛いと思ったことは無いと思うよ。本当はもっと一緒に居たかったと思う」
「でも……っ、一郎太くんは」
花織が両手で顔を覆う。秋は優しく花織の身体を抱き寄せて彼女の背中を撫でた。
「風丸くんの嘘だと思うの。花織ちゃんが思うより、風丸くん。花織ちゃんのこと本当に好きなんだから」
秋が日が落ちかけた空を見ながら今までの2人を思い出す、それには彼女が見た光景も花織が話したこともいろいろなものが含まれていた。初めは、花織は風丸を受け入れなかった。きっと彼女の中でもこんなふうになるかもしれないという危惧があったのだろう。それでもふたりは互いが大好きで、風丸が花織の気持ちが軽くなるならそれでもいいと交際を申し込んだ。
「でも、花織ちゃんが好きだから。……大好きで仕方がなかったから、鬼道くんと幸せになってほしかったんじゃないかなあ……。花織ちゃん、ずっと鬼道くんと風丸くんのことで悩んでたから」
「……っ」
風丸の想いはひたすらに花織に向けられていた。いつも花織ばかり見ていた、教室でも、部室でも。真面目な性格の彼だから、一途すぎる人だったからきっと花織以外に意識を向けることができなかったのだと秋は思う。彼はあまり器用な人ではない。