第17章 優しい嘘
千羽山中学との対戦は2VS1、新たに入った鬼道の戦略により見事雷門中学は勝利を収めた。
千羽山戦を終え、雷門中に戻った彼らは勝利を喜び合い、今はもう解散状態であった。段々と人が疎らになりつつある中で、花織はそそくさと風丸の元へと歩み寄ろうとしていた。鬼道と、話がしたくなかったのだ。
試合中から鬼道がそろそろ自分に答えを求めるだろうということを、薄々花織は悟っていた。だが、花織の中で答えは出ていない。心は風丸に傾きかけていたのに、先日の鬼道の告白を目の当たりにすると本当にどちらを選べばいいのか分からなくなってしまった。自分の想いがどうあるべきか見失っていた。
鬼道も風丸も自分に尽くしてくれようとしたのだ。そう思うとどちらかを選ぶ、という立場にいる自分も、考えることすらも烏滸がましく、嫌になった。
そんな花織の背中に予想していた通り、彼の声が掛かった。
「花織、話したいことがある」
「……」
花織は何も言わずに彼を振り返る。帝国の時とは違う青いマントは、何となく花織に違和感を覚えさせる。青いマントを身にまとった鬼道は、真面目な顔をして花織を見据えていた。
「花織が感じてくれていた俺への感情はずっと前に告げてくれたろう。だが、俺は改めてお前の口からお前の答えが聞きたい」