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恋風

第3章 淡く、そして儚く




さて、その風丸の複雑な感情が部活の時に収まるかと言えばそうではない。教室にいる時よりは花織と一緒にいる時間は長いのだが、苛立つ原因は他にもあるのだから。

「月島先輩!!今日も一緒に走ってください!!」

宮坂がはしゃぎながら花織に声を掛けている。どうして宮坂が、という思いが風丸の中で黒く増幅していく。以前は何とも思わなかった、大したことの無いことなのに。

「うん。でも三人で走ろうよ。ね、風丸くん」

花織が微笑みながら風丸を振り返れば、彼は顔を顰めていた。そんな風丸を見て花織は心配そうに風丸の顔を覗き込んだ。

「風丸くん?どうかしたの?」

花織の視線が風丸に絡むと風丸の胸の中の蟠りがすっと晴れ、ドキドキという別の苦しみに支配される。

「ああ、大丈夫だ。……そうだな、三人で走ろう」

ありがとうと柔らかく微笑む花織に風丸もつられて口元が緩む。風丸はそんな単純な自分に思わず苦笑した。

月島、月島って俺はアイツの事ばっかりだな……まるでこれじゃ俺が月島の事好きみたいじゃないか……、そこまで考えて風丸ははっとして風丸が花織を見る。

不思議そうな顔をしていた花織が風丸に笑顔を返せばそれに大きく風丸の胸が高鳴る。そして風丸は初めて自分の想いに気が付いた。

(そうか……。俺は月島のことが好きなのか)

風丸はやっと自分の感情の答えが見え、それがなんとなく安堵のような気持を生んだように感じた。

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