第16章 最後の悪あがき
電車を乗り継ぎ、花織は帝国学園に急いでやってきた。セキュリティを難なくパスし、約束の場所へと走る。サッカー部練習のためのフィールドを抜け、その場所にたどり着いた。思わず息が止まりそうになった。彼はかつて花織が練習を覗いていたその場所で彼は項垂れていた。
「……鬼道さん」
「……花織」
振り返った彼に思わずドキリとしてしまう。彼はいつものゴーグルを装備していなかった。赤い瞳が悲しみの色を湛えて花織を見つめていた。
「…………っ」
いつもはゴーグルに覆われていて見えることのない瞳。切れ長の鋭く赤い瞳に花織はすっかり射すくめられてしまった。鬼道はゆっくりと花織に歩み寄り、強く、乱暴に花織の身体を掻き抱いた。
「きどうさっ……」
「花織……!!」
切迫した声で名を呼ばれたかと思うと花織の身体は強く壁に押し付けられた。強引な彼の動作に目を伏せると、ゆっくりと顔が寄せられるのがわかった。それだけで、花織は彼が何を求めているのかを悟る。
花織はそれだけはダメだ、と顔を逸らした。受け入れてはならない、わかっていたからこそ拒絶しようとした。