第16章 最後の悪あがき
翌日の練習。次の対戦相手、千羽山中学との対戦に向けての練習をしている。いつも通りの、気合の入った練習だ。だがしかし、皆の調子がどこかおかしかった。いや、個々の調子はよさそうなのだがどうにもタイミングが合っていないかのように思う。
春奈や秋の隣で記録を取っていた花織にもはっきりとそれは分かった。
「なによ、みんな弛んでるわね」
不機嫌そうに、というか彼らの様子に苛立ちを感じたのか夏未が鋭く吐き捨てる。
「皆、変だわ……それに、ドラゴントルネードが決まらないなんて」
「うん……。何ていうか、今までとはちょっと違った感じの違和感だね」
秋の心配そうにつぶやいた言葉に花織が頷く。皆の、特にほとんど毎日長時間眺めている風丸の動きは悪いわけではなく、むしろ良い。花織は首を傾げる。
「身体が訛ってるんだわ」
夏未がまた冷たく言う。だがしかし、春奈がすぐさまそれを否定した。
「そんなことないですよ。たとえば少林寺くんはクンフーヘッドを身に着けたし、他の人たちも動きは格段に早くなっています」
「じゃあ気持ちが訛ってるんだわ。……また、イナビカリ修練所で特訓かしら」
「でも、さっきのミーティングのおかげでみんなやる気は十分だよ?」
さっきのミーティング、とは次の対戦相手が千羽山中だと円堂が皆に発表したときのことだった。鉄壁の守りを誇る千羽山中にはダイヤモンドの攻めだ!という円堂の言葉に戸惑いながらもこぶしを握り、皆フィールドに出てきたはずだ。
マネージャーたちが首を傾げる中、監督・響木が口を開く。
「修練所のせいだ」
「「え?」」
「どういう意味です?」
端的に告げられた言葉に秋が問い返す。花織もよくわからなかった。修練所といったい何が関係あるのだろうか。