第15章 歪みきった関係
「ゴッドハンド!!」
円堂が技を繰り出すが、先ほどのけがのためか、取りこぼしボールはゴールへと突き進んでゆく。にやり、と霧隠がゴールを確信した時だった。一人の影がボールの前に立ちふさがる。その人は目にもとまらぬ速さでボールをカットし、シュートを防いだ。
「一郎太くん……!!」
花織の口から彼の名前がこぼれる。ボールを取ったそのプレイが、風のようなその速さが、自信に満ち溢れた男らしい表情が花織の心を締め付けた。――カッコいい、心からそう思う。
彼はそのままボールを持ち、フィールドを駆けあがっていく。速い、彼はだれにも止められない。風魔の"くもの糸"を避け、風丸は上がる。
「行くぞ!豪炎寺!!」
風丸の声がベンチまで届く。2人の放った必殺シュート、"炎の風見鶏"が深々と伊賀島ゴールに突き刺さった。同点だ。
「一郎太くん!!」
気が付けば花織は彼の名を叫んでいた。霧隠と競り合う彼、鮮やかにヒールでボールを上げ霧隠をかわし、豪炎寺にパスを送る。花織は夢中だった。フィールドを駆ける彼に一喜一憂しながら花織は応援の言葉を叫ぶ。
「がんばって!!」
聞こえているかなど分からない、それでも花織は叫んでいた。そして風丸はボールを再び豪炎寺にボールを送り、ファイアトルネードがゴールネットに突き刺さった刹那、2ー1で雷門中の準々決勝進出が決定したのだった。
***
試合終了後、風丸はフットボールフロンティアスタジアムのとある通路に来ていた。もちろん、宮坂と話すためだ。格好良かった、と満面の笑みを浮かべてくれた花織を置いて彼はひとりここにやってきたのだった。通路を仕切る柵に腰かけて風丸は宮坂と対峙していた。
「本当にすごい試合でしたね、僕感動しました!特に最後の霧隠をかわした場面は鮮やかだった。まるで、疾風のようなダッシュでしたよ」
興奮しきった声で宮坂がこぶしを握る。風丸はそんな彼にとうとう自分の決めた答えを口にした。花織に告げたのと同じ答えだ。
「宮坂、俺、サッカーが大好きなんだ」
少し宮坂の感情を伺うような表情で風丸が見上げれば、宮坂はただ静かに目を伏せ彼の答えに頷いた。