第15章 歪みきった関係
快活に笑って土門もそれらを受け取ってくれる。汗をぬぐう土門を見ながら、花織はねえ、と彼に声を掛けた。風丸と同じDFでしかも隣に位置する土門だ。風丸の動向に違和感がないか知っているかもしれない。
「一郎太くん……どんな感じ?」
「ん?どんな感じって……花織ちゃんも分かってるだろ。今日はアイツ、いつもよりも張り切ってるよ」
「そうなんだけど……、さっき結構派手に転んじゃってたから」
「なーるほどね、心配なわけだ」
土門が頭の後ろで手を組みながらにやにやと花織を見る。花織の頬が少し赤くなる。すると土門がぽんぽんっと花織の頭を叩いた。
「大丈夫だって。ほら……、な?」
土門がそう言って指差した先は風丸だった。じっとこちらを睨むようにしてみていた彼だが、花織が自分を見たのに気が付くや否や、慌てて風丸は視線を逸らした。土門はそれが可笑しくて仕方がなく、笑いを堪えながら花織に言う。
「あんな顔できるんだ、怪我なんかしてねえよ。花織ちゃんも、過度な心配するくらいなら後半からもアイツを応援してやれ、な?」
そう自分で言葉にしながら土門は思う。花織は鬼道と風丸、決めかねているなんて言っているが、そんなことはない。花織の瞳は以前土門が花織に問いかけた時とは全く違う。以前、地区予選決勝で負傷した鬼道に向かわなかった花織の対応がそれを何より裏付けている様に思えた。
***
後半開始してから数分経つ。ハーフタイム終了間際に何とGKの円堂が負傷していることが明らかとなった。どうやら霧隠のシュート、"つちだるま"を受けた際に負った怪我らしい。花織の想い人は円堂のカバーを皆と宣言して意気揚々とフィールドへと駆けて行った。
「あ……っ」
「止めろ!壁山!!」
円月の陣から抜け出た霧隠をブロックしようとした風丸だったが、易々と彼に避けられてしまう。花織は思わず声を漏らした。その後霧隠の放ったシュート壁山にブロックされたように見えたが、こぼれ球を拾って霧隠が再びシュートを放つ。今度は普通のシュートではない、先ほど円堂のゴールを破った"つちだるま"だ。