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恋風

第15章 歪みきった関係



「ああ、見ていた俺たちも分かった。サッカー部に鍛えられたか」
「かもしれないですね。サッカー部の練習も結構ヘビーですから」
「フォームも全然崩れてないんですね。僕、安心しました」

宮坂の言葉に総細が突っ込む。

「なんでお前が安心するんだよ」
「だって僕、風丸さんが走り方を忘れたんじゃないかって心配だったんですよ」
「大体簡単に崩れるようなフォームじゃ、一流とは言えないさ」

花織は風丸への賞賛の言葉を聞きながら、ちらりと風丸に視線を送った。そして気が付いた、風丸は思いつめた表情をしていることに。

「一郎太くん……」
「な、風丸」

花織の囁きは風丸に届くことなく開川の言葉によって掻き消された。彼は風丸の肩をたたき笑顔で風丸に言葉を掛ける。

「全国トップレベルの連中をこのスピードとフォームで打ち破ってきたんだからな。サッカーでもこの調子で相手を翻弄してるんだろ?」
「いや、俺なんかまだまだですよ」

そこまで言って風丸が開川から視線を逸らした。花織が気になってその視線の先を追うと木陰に栗松が立っていた。思ったよりも時間を消費してしまったらしい。そろそろ戻らなければ練習に差し支えるだろう。花織がもう一度風丸に視線を送ると今度はこちらの視線に気が付いて彼は頷いてくれた。

「全国でも頑張れよ」
「そうだな、応援してるぜ」

2人のアイコンタクトに気が付かなかった部員たちが激励の言葉を風丸に掛ける。しかしそこで不服そうに口を挟んだのが宮坂だ。

「え、でもそろそろ、こっちに戻ってきてくれても」
「その話はまた今度、サッカーの練習に戻らなきゃ。……行こう、花織」

宮坂言葉を遮って風丸が言う。そして花織の手を取った彼は逃げるように陸上部の輪の中から抜け出した。花織は自分の手を引く風丸の後姿を見ながら思う。

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