第15章 歪みきった関係
「……俺は花織ちゃんの出した結論が答えだと思う。焦って急いで答えを出すことこそが鬼道さんや風丸の気持ちに対して失礼だから、ゆっくり考えて納得のいく答えを出せばいいんじゃないか?……時間をかけるだけ相手に期待させるのは確かだけど、2人も花織ちゃんが板挟みになってること、知ってるんだからさ。待っててくれるだろ」
「そう、かな……」
花織が自嘲するような笑みを浮かべる。花織自身もそんなことは分かっていた。だが、ただただ、決められないのだ。
どちらを選んだとしても、どちらも傷つけることになる……その思いがぬぐえない。
でも、もう風丸と共に在りたいと、彼の想いに答えたいと一度でも誓ったのだから……。その思いを遂行するのが今の私のすべきことだろう。きっとそうすれば答えは見つかるだろうから。
***
全国大会に出場が決まったことにより、廃部寸前とまで言われたサッカー部は一躍雷門中学のヒーローになった。雷門中の誰もが彼らを賞賛し、彼らにエールを送った。それはこの学校の長も例外ではなく、雷門夏未の父、雷門総一郎理事長の心を揺り動かすこととなった。
一度はサッカー部の廃部を決めた、彼自身がである。理事長は自らサッカー部に赴き、部室を新しくしようと提案した。全国大会出場の褒美として。
「一郎太くん」
「どうした、花織?」
「さっきの言葉、凄く格好良かった」
部室からフィールドまでの道のりを歩く花織がはにかみながら風丸を見つめる。
彼女の言う、"さっきの台詞"とは円堂が部室を新調しようという理事長の申し出を突っぱねた時に風丸の放った"部室に全国優勝のトロフィー、飾ってやろうぜ!"という言葉だった。40年以上、響木監督が学生のころから存在する部室に対して、仲間と思うようなその言葉に花織は心底感動していた。