第15章 歪みきった関係
土門はふう、と荒い息のままに河川敷の芝の上に腰を下ろす。2人しかいなかったとはいえ、そこそこにハードな練習をしたと思う。
「はい、これ……お礼にもならないけど」
花織はそういって今し方自販機で購入したスポーツドリンクを彼に差し出す。土門はああ、と返事をしてそれを受け取った。
「サンキュ。……にしても、さすが花織ちゃん。風丸に聞いてたけどやっぱ体力あるし、上手いわ」
はーっとスポーツドリンクの入ったペットボトルを首にあて、首を冷やしながら土門は芝の上に寝っころがった。花織はボールを抱えて土門の隣に座る。
「私、これでも帝国出身だから」
くすっと笑いながら花織が自分用にと持参した水筒を傾ける。
「あちゃ、そうだった」
「うん。……でも、こんなのじゃダメ。一郎太くんの練習相手にならない」
「風丸の?」
花織はコクリと頷く。最近イナビカリ修練所での練習が主となったせいか、風丸と花織との間に実力の差が出始めたのだ。それは今の土門との練習でも言えることで、花織の持久力の高さや持ち前のスピード、瞬発力で補うことができ充実したものの、彼が手加減をしていたことは事実だった。
「この練習はね、私自身の身体能力の維持のための練習でもあるけど……、一郎太くんとの練習のための練習でもあるの。私、一郎太くんと一緒に走るのが大好きなんだけど、最近実力差が目に見えてきちゃって……。イナビカリ修練所は使わせてもらえないし」
本当は、もっと自分の向上が望めるような練習がしたい。しかし、修練上は先ほども述べたように風丸にも、そして鬼道にも禁じられてしまっている。
「そっか……。花織ちゃんって本当に風丸が好きなんだな。本当、羨ましい位に仲良いし」
「……」
土門がそうやって花織に笑い掛けると、花織は表情を陰らせる。ん?と土門は首を傾げた。
「花織ちゃん?」
「…………私、そんなに彼に対して誠実じゃないの。自分の気持ちを誤魔化したくて、今日は」
そこまで言って花織は俯く。そしてふっと自嘲的な笑みを浮かべて土門を見た。