第14章 真実と疑惑
「花織先輩、あのちょっとお話し、いいですか?」
勝利の雄たけびをあげている最中、ベンチで、喜ぶ雷門イレブンの姿を眺めていた花織に春奈が恐る恐る、言葉を掛けた。花織はどうしたの、と春奈に視線を向ける。どうしてか春奈はしゅんとした表情を浮かべていた。
「花織先輩、ごめんなさい!!」
「え……?」
突然に頭を下げた春奈に花織は驚く。何が謝られるようなことをしただろうか……。花織はそう思って首を傾げる。すると何か花織が問い直すよりも早く春奈が口を開く。
「私……、風丸先輩に花織先輩の悪口を言ってしまったんです。ちゃんとお兄ちゃんと花織先輩が一緒にいたことには事情があったのに……。花織先輩が風丸先輩にとって酷いことをしてるんじゃないかって思っちゃって……」
花織は気が付いたように息を漏らす。やはり、他から見るとそんなふうに見えたのだろう。花織が鬼道と逢引をしている様に。
「いいの……。今日は成り行きだったけど、もとはと言えば私が鬼道さんへの想いを捨てきれないのが悪いんだから。ごめんね……、春奈ちゃん。鬼道さんに対して変な印象与えちゃったでしょう?」
「いえそれは……。お兄ちゃん、鬼道家に行ってから連絡くれないの、事実ですから」
花織が謝罪の句を述べると春奈は首を振って否定する。その表情には寂しげな色を浮かべている。花織はそんな春奈を見て、もういいだろうと思った。鬼道が彼女のために隠している真実を話すことは、今話さなければ二人はすれ違ったままだ。
「春奈ちゃん……、ちょっと聞いてくれる?」
花織の口から真実が語られる。それを聞いた刹那、春奈は兄の元へと駆けだした。
***
「待って!!」
フィールドを降り、通路を歩き始めた鬼道の背中に春奈は叫んだ。もう知ってしまった、どうして今まで兄が連絡をくれなかったのか、どうして今までこれほど辛辣な態度をとってきたのかを。
「春奈……!?」
マントを翻した鬼道は驚愕にあふれた表情を浮かべる。何故なら彼女は自分を追うはずのない人間だったからだ。春奈は鬼道の前で立ち止まるといきなり核心を言葉にする。
「私を……、私を引き取るためにお父さんと約束したって」