第2章 不思議な気持ち
花織が再び頭を下げる。必要以上に風丸に迷惑を掛けたことは明白だった。風丸はというと慌てて花織の方へ手を伸ばす。
「なっ、なんで月島が謝るんだ?俺の勝手でやったことなんだから……」
「でも……。せめて何かお礼をさせて?」
縋るように自分を見つめる花織に風丸が困ったように頭を掻いた。どうしたものだろう、彼はこういう場面でどうすべきかを知らなかった。別に女子を心配して家まで送り届けるなんて普通の事だろうに。
「そう、だな……。それじゃあ……」
しばらく風丸は眉間に皺を寄せて悩んでいたが、ふっと口元に浮かべる。彼は何か妙案を思いついたようだった。春風がふわりと風丸の髪が風を舞い上げる。
「それじゃ、今日もまた一緒に走ってくれないか?」
「え?……でもそんなことでいいの?」
花織は不安げに風丸を見つめる。彼の提案は彼女にとっても嬉しい提案だった。だがそれは彼にとっての礼になりうるのだろうかと疑問に思った。花織の速さは何を言っても風丸には劣る。
「ああ。月島のスピードには俺も興味があるんだ」
興味がある、その言葉と彼の笑顔は花織にとって無性に嬉しいものだった。自分の存在を認めてくれたようなそんな気持ちを抱かせてくれる彼の言葉に花織は心から嬉しそうに笑う。
「わかった。ありがとう、風丸くん」
また彼と走ることができる。その事実を思うと花織は今までに感じたことのないワクワク感が胸にこみ上げる。
その時、花織は自身の背中に突き刺さる様な何か嫌なものを感じた。違和感に振り返ってみるも、彼女の後には誰もいなかった。