第14章 真実と疑惑
「俺と付き合い始めてからも、アイツは本当は何度も俺に別れてくれって言ってるんだ。自分が鬼道への想いを捨てられないから、俺に酷いことをしてるからって。……でも俺が花織を縛ってる、鬼道の代わりでいいって言ったのに、いざとなると踏ん切りがつかなくてずるずるアイツを付きあわせてる」
「そんな……」
風丸の言葉は事実ではある。事実ではあったが真実とは言い難かった。風丸は花織を庇っていた。別に風丸が花織を無理に付きあわせているというわけではない。今となっては花織が望んで風丸の傍にいるというのに、風丸は花織が気を使って自分の傍にいてくれているかのように話をした。
「それに、そんな俺の想いに答えようとして鬼道と会わないと約束をしてくれたアイツの想いを無碍にして、今日鬼道の傍に花織を居させたのも俺の意思だ。全部俺の自業自得なんだよ」
あくまでも、花織は俺に思いを押し付けられて迷っているだけだ。優しい奴だから。……そんなふうに風丸は話す。花織が鬼道と結ばれるであろう近い未来が誰にも非難されない様に。周りが彼女にとって針のむしろとならない様に。彼女が風丸に対する同情の声に潰されない様に。
「だからさ、音無」
本当は辛くて仕方がないのに、風丸は笑う。
「いつか俺の踏ん切りがついたときは、花織が鬼道と上手くいくように応援してやってくれ。そろそろ心を決めるからさ」