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恋風

第14章 真実と疑惑



***

鬼道の予測した事態は試合開始のホイッスルと共に起こった。スタジアムの天井を支えている鉄骨が雷門イレブンのたつフィールドに突き刺さったのだ。誰もが息をのみ、誰もが雷門イレブンは無事では済まないと思った。だがしかし、鬼道有人の活躍により影山の策略は阻止された。

策略が露見した影山は逮捕され、またあらためて30分後試合開始することを告げられた。

「一郎太くん、怪我はない?」
「ああ」

先ほどとは違い、今度は花織が風丸を心配する。何しろけが人がいなかったとはいえ、大事故だったのだ。彼女はいくら大丈夫だと言われても中々安心できずにいる。

「でも……」
「花織」

花織が風丸に詰め寄ろうとした時だった。背後から波乱を起こす対象の声がかかる。花織はゆっくりと振り返った。そこに立っていたのはやはりマントをはためかせたあの人だった。

「鬼道」
「風丸……」

風丸は鬼道に名を呼ばれるや否や、軽く鬼道に頭を下げる。

「すまない、迷惑をかけた」
「いや……、俺の方こそお前が俺を信じてくれたおかげで何もなかった。こうして正々堂々と試合ができることを嬉しく思う」

鬼道は肩をすくませて笑う。花織はそれを不思議に思った。以前2人の間に流れていた険悪な空気がそこにないのだ。それは風丸の心境の変化にあった、しかし花織がそれに気が付くことは無い。花織がふたりを交互に見ていると鬼道がまた口を開く。

「風丸、少し花織を借りてもいいだろうか?少し彼女と話がしたい」
「………ああ、構わない」

鬼道の提案に風丸は少しだけ顔をこわばらせた。彼は悟っていた、今から鬼道が何を彼女に言うのか。それでも風丸は了承の言葉を口にした。

「……一郎太くん」
「花織、行くぞ」

鬼道がマントを翻して先を行く。花織は風丸の名を呼んだが風丸は微笑んで行って来い、というだけだった。花織は風丸を気に掛けながらも鬼道の後を歩く。彼女たちが通路を曲がってしまい、姿が見えなくなったとき、風丸に声を掛けた人物がいた。

「風丸先輩、少しお話があるんですけど……」

それは浮かない顔をした音無春奈だった。
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