第14章 真実と疑惑
何だー……、と落胆する一年生を横目に見ながら花織は恋人である風丸の元へと歩みよる。
「一郎太くん……」
「花織、大丈夫だったか?」
小声で風丸が花織に囁き、花織の肩に手を置いた。表情から言葉通り花織を心配して止まなかったことが汲み取れる。
「うん……。私は大丈夫だったよ。……一郎太くん」
「どうした?」
花織の悲しげな表情に風丸が首を傾げる。花織は少し言葉を詰まらせたが、何とか言葉をつむぎだした。
「ごめんね……。私、一郎太くんを傷つけてばかりで。私の為に鬼道さんに私を預けたんでしょう?……私が、ひとりにならないように」
彼女は俯き加減に呟く。鬼道と風丸が約束をしたのだ、という事実を知ってから花織はずっと風丸に謝りたかった。花織の言葉に風丸はぴくりと瞼を震わせたが静かに首を振る。
「花織は気にしなくていい。俺は花織が無事なら何でもいいんだ。そのために俺が勝手に選んだことだ、花織がそれに責任を感じる必要はないさ」
本当は大丈夫なわけがない。鬼道と一緒にいた彼女が何をされたかわからない。愛を告げられたかもしれないし、彼女もそれに答えたかもしれない。それを今すぐにでも問いただしたい。
「……ごめん」
「花織」
それでも浮かない顔をする花織に風丸は微笑む。そして優しく花織の髪を撫でた。自分は何も気にしていない、花織が無事で笑ってくれるなら何でもいいのだと自分に言い聞かせながら。
「試合、頑張るから。絶対鬼道に勝つ。……だから、応援してくれ」