• テキストサイズ

恋風

第14章 真実と疑惑



花織と鬼道はあれからしばらくしてスタジアムの入り口に立っていた。何も見つからないまま、結局ここに何かが仕掛けられているだろうということになったのだ。しかし鬼道曰くいつも通りのフィールドで何も異変はないようなのだ。

「鬼道さん……」

不安げに花織は鬼道を見る。もう試合開始まで時間がなかった。鬼道も花織に視線を向けようとした、その時だった。

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

耳をつんざくような悲鳴がスタジアムに響き渡る。鬼道が咄嗟に花織を自分の背へと隠すようにして彼女を庇った。しかし何も特に状況に変わりはない。遠めに悲鳴の主を探していれば、それが宍戸の物だということがわかった。どうやら天井から何かが落ちてきたらしい。

「どうしたんでしょう……」
「わからない」

鬼道は天井を見上げる。スタジアムの天井は高すぎて見上げてもただ暗い闇が上には広がっているだけだ。しかし、今の一瞬で鬼道の頭の中に何か引っかかるものがあった。なんだろうか、彼はそれがわからないでいた。

「花織、そろそろお前は雷門のベンチに戻れ。試合が始まる」
「でも……」

花織は不安げな面持ちで鬼道を見つめた。まだ何も見つかっていない、選手たちに何が起こるかわからないのだ。鬼道はそんな花織を安心させるようにぽんぽんと花織の髪を撫でる。

「大丈夫だ。俺が絶対に見つけてみせる、誰も傷つけさせやしない」

鬼道が柔らかく微笑んで花織に囁く。花織にとってみれば彼の言葉は根拠のない言葉のはずなのにどうしてか本当に何も心配はないと感じさせた。花織はこくんと、彼の言葉に頷く。

「……わかりました。鬼道さん、いい試合にしましょう。絶対に雷門は負けませんから」

今の場に合わない宣戦布告を花織はしっかりと鬼道の目を見据えて口にした。これは彼女なりの鬼道を信頼する言葉だった。何故なら、その結果は試合が無事に行われなければ分からない事象だからだ。それだけ言って花織はベンチへ戻ろうとする。そんな彼女の背中に鬼道は言葉を掛けた。

「花織、あとで話がある。……聞いてくれるか」
「……、ええ」

少しだけ振り向いた彼女は微かにだが、頷いた。

/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp