第14章 真実と疑惑
花織と鬼道はまた長い廊下をひたすらに歩いていた。この帝国学園は敷地が広い、加えて影山総帥が仕掛けた罠というものがいったい何なのかがはっきりしないため探すこともかなり困難だった。花織は自分の手を握って離そうとしない鬼道の顔を見つめる。
「何も見つかりませんね……、鬼道さん」
「ああ」
花織が不安げに鬼道を見れば、少し彼も何も見つからない今の状況に焦っているようだ。花織がちらりと鬼道から視線を逸らし、別の通路へ視線を向けた時だった。
「何をしているの!?」
突然響いた鋭い怒号。花織は身をすくめてしまう。先日の出来事のせいか、暗く狭い道が花織は少し怖かった。鬼道の手を離さないのもそのせいかもしれない。……きっとそれだけが理由ではないのだろうが。
とにかくふたりがその怒号の主へと振り返ると、厳しい顔をした春奈がつかつかとこちらへ歩み寄ってきていた。
「何をしているの!」
また同じ問いかけを春奈が鋭い声でかける。鬼道はじっと春奈を見たまま低く問い返した。
「どういう意味の問いかけだ」
「だから、アップもせずにここで何をしていたの、って聞いてるのよ!」
しかも花織先輩をつれて、と春奈が続ける。しかし鬼道の返答は冷たいものだった。
「お前には関係ない。……行くぞ、花織」
鬼道が花織の手を引き、春奈の横をすり抜けようとする。しかし、春奈が花織の鬼道が掴んでいるのとは反対の手を掴んだ。
「一緒に戻りましょう、花織先輩!この人と何があったかは知りませんけど、こんな人と一緒にいるべきじゃないです!風丸先輩も待ってますからっ」
「春奈ちゃん……」
花織は強く掴まれた腕と春奈を見た。とても悲しそうな顔をしている。花織がそんな春奈を振り切れずにいると鬼道が強く花織の腕を引いた。花織がバランスを崩して彼を振り返れば鬼道は黙って首を振る。
……何も言うな。黙ってついて来いと、そう彼が言っているのが分かった。