• テキストサイズ

恋風

第13章 鬼の道に有る人




私のことを嫌っていたのでは……、と花織は問いかけようとしたがその言葉は続かなかった。急に道が開けて今日試合が行われるフィールドに出た。厳粛で重々しい雰囲気が試合会場全体を覆っている。

「とにかくだ。総帥は今日までバスの細工に始まり、雷門の出場を阻止しようとしていた。そしてそれを今まで阻むことができなかったからには、何としても雷門が出場を断念せざるを得ない状況を作ろうとするだろう。……俺は何としても総帥の企みを成功させるわけにはいかない」

ひらひらとマントを揺らして鬼道が歩き始める。その時にするりと花織から彼は手を離した。そしてフィールドにしゃがみ込み芝を少しつまむ。それを凝視しながら鬼道は呟いた。

「何かいつもと違うところがないか、雷門の連中がアップをするために出てくる前に調べておかなければならない」

花織は頷く。影山の意図も、鬼道の本当の意思も何もわからなかったがとにかく風丸やほかの皆に危険が及ばぬようにするためには影山の策略を阻止しなければいけないのだということは分かった。

「では私も……、反対側から調べていきますね。きっとその方が効率もいいでしょうし」
「……っ、だめだ!」

花織がフィールドの反対側へと掛けようと踵を返した途端、ぐいと強い力で手首を掴まれた。驚いて花織は鬼道を振り返る。

「お前は、少なくともこの試合が終わるまで、人質としての価値がある。それに総帥の仕掛けた何かがどんなふうに危険かは俺にだってわからない。……試合が始まるまでは俺が手を伸ばしてお前を守れる範囲にいてくれ」
「でも、自分の身くらいは……」

昨日の今日で説得力がないことは知りつつも花織は言葉を紡ごうとした。一度でも花織の存在を迷惑だと感じたことのある彼に守ってもらうというのはどうだろうという疑問を感じたからだ。しかしその言葉がこぼれる前に鬼道が言う。

「お前をもう危険な目に遭わせるわけにはいかない。言っただろう、お前は俺にとって大切な存在なのだと。……それに、風丸ともそういう約束でお前と2人きりになることの許しを得てるんだ」
「!……一郎太くんが」
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp