第13章 鬼の道に有る人
「話せば長くなる。……今は時間がないから掻い摘んで説明しよう」
鬼道が再び歩き始める。
「俺は総帥と決別することにしたんだ」
「総帥と!?」
花織が吃驚を露わにした顔で鬼道の顔を見つめる。鬼道にとって総帥とは絶対的な存在であり、何より遵守すべき存在だと花織は思っていた。そんな花織の反応を見て鬼道は苦笑する。
「お前のその反応を見るに俺は相当、総帥に心酔していたんだな。……だが、もうあの人の考えについていけない、他の奴らもそうだ。だから俺は総帥に意見した……」
ぎゅうと鬼道の手が花織の手を握る力が強まる。花織の方へちらりと顔を向け眉根を下げた。
「その結果がこれだ。お前を昨晩危険な目に遭わせてしまうことになってしまった。……すまなかった」
「いいえ……。一郎太くんがいてくれたから、私は特に怪我もしていませんし……。でも、どうして私を標的にしたんでしょう?」
花織は考え込むような口調で零せば、鬼道が振り返る。花織は本当によくわからなかったのだ。鬼道にとって自分が価値があるとは思えなかった。その根底は半年前に鬼道に掛けられた言葉にある。
鬼道は困ったように笑って花織を見つめた。
「お前が風丸にとっても、俺にとっても……。そして雷門サッカー部にとっても大切な存在だからだ」
「……?」
花織は怪訝そうに顔を顰める。風丸とサッカー部の花織に対する思いは同等ではない。しかし仲間として大切に思われていると、ここでは仮定してもいいのかもしれない。しかし鬼道は……?
先日の言葉と統合するに鬼道にとって花織という存在はどうでもいいわけではないが、サッカーという競技に比べてはるかに下だったはずだ。少なくとも彼女は彼にそう告げられた。
彼の言葉は、私は暇つぶしの相手としては価値がある、という意味なのだろうか……。そんな推測が彼女の中を飛び交っていた。
「鬼道さんは……」