第13章 鬼の道に有る人
以前は通ることの許されなかった、それでも鬼道に会うために通っていたこの通路。そこに雷門サッカー部の控え室はあった。完全自動の扉のそれ、さっそく中へ入ろうと円堂が進み出るとそれより早く扉は開いた。
「……っ!」
目の前に立ちふさがった人物に、雷門サッカー部勢の表情がこわばる。中から出てきたのは鬼道有人だった。鬼道は雷門の面子を確認する。その中で2人の大切な人の無事を確認してふっと息を吐いた。
「無事についたみたいだな」
「どういう意味だ!まるで事故にでも遭った方がいいみてえな言い方じゃねえか、まさかこの部屋にも何か仕組んでんじゃねえだろうな」
どすを聞かせた声で染岡が鬼道に食って掛かる。無理もない、どうあっても鬼道は敵なのだ。以前痛めつけられた痛みをやすやすと忘れられるはずもない。鬼道の安堵の言葉は彼らにとっては皮肉にしか聞こえなかった。それを理解していて鬼道は言葉を続ける。
「安心しろ、何もない」
「はあ?んなの信じられるか!」
鬼道の動揺すらも見せない態度にさらに腹が立ったのか染岡が喧嘩腰にいう。だがしかし、鬼道はそれを完全に無視して花織の前に立った。花織の目が大きく見開かれる。彼の行動に花織は目に見えて動揺した。半歩下がって風丸の陰に花織は身を隠す。
「花織、俺と一緒に来い」
「なっ……!!」
どよどよと選手たちがざわめき始めるそれは鬼道が花織のことを名で呼んだことに対してか、彼女についてくるように言ったためかは定かではなかった。
「わ、私は……」
花織はふるふると首を振ってまたさらに一歩後ずさった。彼女は風丸との約束を気にしているのだ。それでも鬼道はずいと花織に歩み寄る。そして花織の方へ静かに左手を伸ばした。しかしその鬼道の行く手を彼のもう一人の大切な人が阻む。