第13章 鬼の道に有る人
とうとう帝国学園との決勝戦の日がやってきた。早朝、家が遠いにも関わらず、風丸は花織を迎えに来ていた。昨日の今日だ、万が一のことがあってはいけないし、何より花織が心配だ。……加えて、不本意だが鬼道との約束もあった。
「おはよう……。一郎太くん」
チャイムを推せばすぐに花織がドアを開け、恐る恐る顔をのぞかせた。その表情はいつより暗い表情をしている。無理もない話だ、何せ昨日あんな目に遭ったのだから。
「おはよう、花織。ちゃんと眠れたか?」
少しでも彼女の元気が出るよう風丸は無理に明るい声を出して、彼女に問いかける。
「うん……。もう大丈夫。ごめんね、迷惑かけて。改めて昨日はありがとう、私……、一郎太くんがいなかったらどうなっていたことか……。想像するだけで怖い」
「いいんだ。俺がお前を守るのは当たり前の事だろ?」
泣きそうな表情を浮かべた花織の肩を叩いて風丸が微笑む。そう、花織が無事ならば、それだけで良い。本当に、ただそれだけで。
***
駅前に集合し、電車に乗り込めば監督や円堂、豪炎寺が花織に心配の言葉を何度もかけてきた。彼女の隣にかけている風丸はずっと花織の横顔を見つめていた。花織はどこか憂い顔で窓の外を見つめている。円堂たちの問いにはもちろん受け答えをしているが、やはりいつものような元気はないようだ。
マックスや半田もそんな彼女の様子に疑問を感じているようで、昨日の出来事を知らないにしても花織のことを心配して声を掛けに来ていた。そんなふうに帝国学園までの道のりをすごし、電車に揺られていれば一行は帝国学園入口まで到着した。
どんよりとした曇り空の下、花織は帝国学園の校舎を見上げる。いつ来てもこの場所の空気は暗く重苦しい。まるで要塞のようだと自らがこの学校の生徒だった時から何度感じたことか。中へ進んでみると何となく懐かしいような、だが疎外感のようなものを花織は覚えた。
半年前まではこの学校に通っていたというのに全くと言っていいほど学校に対する親しみがない。
「花織はここに通っていたんだな……」
花織の隣に立つ風丸がぽつりと誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。