第12章 瞳に映るのは
きっぱりとした鬼道の口調に風丸は思わず歯ぎしりしたいような気持にさせられる。花織を鬼道に……、花織に想いを寄せるコイツに預けねばならないのかと思うと嫉妬で心が燃え上がりそうなくらいだ。だがしかし、それが彼女を守るための策としては理に適っているため、何もいう事は出来ない。
チームで彼女を守ればいい。一瞬そう思ったが試合前に花織が誘拐されかけた、などという話をすればチームに動揺を与えるのは目に見えている。プレーにも影響が出るかもしれない。きっと花織も、他言されたくないはずだ。
風丸は何とか自分へ言い聞かせる。花織は元々誰が好きだったのかを。
――――――花織を守るためだ。
「分かった、鬼道……。お前の言うとおりにする」
「ふっ……。物わかりがいい奴で助かったぞ、風丸。……決勝戦、楽しみにしている。帝国も、そして俺も正々堂々勝利を掴んでやる」
ああ、前と同じだと風丸は思う。しかし精一杯見栄を張った。
「ああ、俺だって負ける気はない」
本当は負ける気しかしなかったとしてもだ。