第12章 瞳に映るのは
「そうか、じゃあなんで花織を振ったんだ」
「お前には関係ないだろう。そうするしかなかった、そう言う以外に言うことはない。それより明日の話だ。花織が今日襲われた理由、それは俺の気持ちのせいだ」
「どうしてそうなるのかが分からないが」
風丸は低い声で言う。鬼道が大事にしている人間なら影山も丁寧に扱いそうなものだが違うのだろうか。
「この件は、俺が総帥に意見したことへの報復だ。総帥は俺の花織へ対する感情を知っている。だからこそ、花織を人質にすれば俺を制し、あわよくば風丸、お前の動きを操ることができた。……いや、お前だけじゃない、他にも数人操れたろうな」
風丸は何も言えなかった。鬼道の言っていることに間違いがないのだ。もし花織が人質に取られたとすれば、きっとチームよりも彼女をとってしまう。しかも自分たちを殺そうとしたといっても過言ではないあの影山は、花織の命とチームの勝利を確実に天秤にかけてくるはずだ。
「だから特に明日は花織から目を離すな。……本当は俺が朝からあいつの家へ迎えに行きたいくらいだが、誰かさんとの約束のせいであいつは俺と会わないと言っているからな」
「……!」
不覚にも風丸の胸がきゅんと切なくなった。花織は俺との約束を守ってくれているのだ。
「だが、帝国学園に到着してからはしばらく花織を俺に預けさせてもらう」
「……っ、何故だ?」
高揚しかけていた風丸の心は一気に冷めたものへと変わった。鬼道の意図が掴めない、どうして鬼道に花織を預けねばならないのだろう。だが鬼道はそんなこともわからないのかとふっとため息をついた。
「お前はこっちに着いたら更衣やアップをしないといけないだろう。その間、花織はどうする?マネージャーで仕事を分担するだろう、かならずあいつはひとりになる。……だから試合開始までは俺の傍に花織を置かせておいてくれ。絶対に目は離さない」