第12章 瞳に映るのは
「鬼道」
「豪炎寺か」
「犯人は逃げ去る時、総帥と言っていた。そしてお前は月島に頻繁に電話を掛けてきている。なにか知ってるんじゃないのか?」
豪炎寺の冷静な声に鬼道が押し黙る。そしてため息の後に静かな声で鬼道は言った。
「わけは話せない。しかし花織が襲われたのは総帥の策略で間違いなく俺のせいだ……。すまない、花織」
「わけが話せないって、何か理由があるのか鬼道?」
円堂がただ疑問に思ったのかぽつりと呟く。
「単純に俺の気持ちの問題だ。だがそうだな……。風丸、お前にだけは話しておこう。頼みたいこともある」
鬼道から名指しで呼ばれた風丸は唇をぎゅっと固く結んだ。そして今も彼の身体に縋りつく花織の身体を引き離して、風丸は立ち上がる。
「いち、ろうたくん……」
行かないで、と言いたげな瞳で花織は風丸を上目づかいで見上げた。風丸はそんな花織を宥めるように肩を叩いて花織の携帯を手に取る。スピーカーホンの状態も通常モードにその流れで戻した。
「円堂、豪炎寺、少し話してくる。花織のこと、頼む」
先ほどよりもだいぶ落ち着いた様子の花織、そろそろ監督にも説明ができるだろう。2人が風丸の言葉に頷いたのを確認して風丸は引き戸を開け、外へと出た。すでに辺りは真っ暗で、商店街の店もほとんどがシャッターを下ろしている。
「……鬼道、話す前にまず聞きたいことがある」
「何だ?」
互いの口調はどこか牽制しあっているかのように感じさせるほど刺々しい。風丸がその感情を抑えたかのような声で鬼道に核心を問う。
「お前は花織をどう思っている」
その問いに鬼道は決然とした声で答えた。
「どう思っている……?お前には分かりきっていることだろう?俺は花織を好いている、これを愛と呼んでも過言ではないだろう。アイツが帝国にいたときからずっとそうだった」
花織もそうだと思っていたが、と鬼道は何をいまさらと言いたげな口調で言う。風丸は目を伏せた。
ああ、分かっていたさ――――――。